Subeatleoの自作ルーム

 

連載小説 静まりし二つの羽根 第30話

最後のR

レクはダイスを投げた。
出目は1と6、つまり神と仏。
バルバラとの出会いはあまりに深すぎた。
レクの心が徐々に音に親和していく。
核心。
地球の表面からその真裏への距離2r
だれしもがマントルを貫かねば計り知れない。
ソウソレハトウテイシルヨシモナイ。
そしてレクの頭にもう一つのベクトルが加わった。
レクの頭脳が三方向に分岐し自分との距離を算出していく。
R三乗。
4/3πrの三乗。
誰もが自分の視野をもち。
誰もが自分の目でその事象を捉える。
つまり争うのは自己をもつためである。
もしこんなことをされたら自分はどんな気持ち?
レンズが他人を自分の中に透過する時。
敗者は勝者を知り。
勝者は敗者を知る。
そこには悠然とした時間が流れ。
時と共に忘却が起こり。
そしてまた時には転換する。
色をそのままという。
そのままとは?
バルバラの祈りが続く。
世界が動き、マグマが吹き出す。
爆発が宇宙を作り
自分をとりまく環境が変化する。
その時、突然サルーインの岩が弾けた。
汝、時を渡る者。
セキトを蘇らされよ。
子午0’00
風は45ということなかれ。
セキトは大きな響きとなり
その回転は時にもとずく
そして四季おりおりの季節がそこにはできあがった。
セキトが回転を続ける。
そうゼラルドはその時、セキトとなっていたのである。
唯の世界は東と西と三方向の海を渡す橋渡し役となり
サルーインはDUOの世界とゼラルドの世界を見渡す回転橋となった。
世界の人々はその下でやがて自由に市をひらき、その歴史は大河となり
大いに人々の心を清らかしめるものになったという。
そして今日も
レクとイエム、二人の心が重なる時
レクイエム
それは空へ浮かべる鎮魂歌となる。
二人の旅は続く。

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