Subeatleoの自作ルーム

連載小説 スクリュー 第1話

序章


その昔、サルーインという一人の勇者が居た時代。

混迷した世の中は明るさを取り戻したかのようにみえた。
ここ港町コーマル。
池に寄せる波が静かに波紋を広げている。
何重にもひろがる波の波紋がタンジェントA
そうあの時の衝撃を思わせるかのように広がっている。
直角に当たる光がその粒子を左右に散らしている。
もう南中か。
昼にしよう。
サルノヴァは弁当を広げた。
サルノヴァは今年で34歳になる。
野良仕事で鍛えた筋骨隆々とした体がその苦労の重さを思わせている。
サルノヴァ、この畑まで池の水を組み入れるのって大変でしょ?
サルノヴァは微笑んだ。
お天当さんの高いうちは働かなきゃな。
サルノヴァは疲れたように笑った。
鎖骨のあたりから眉間にかけて南中した太陽の光が差し込んでいる。
サルノヴァは弁当の包みをさっと広げると割り箸を割った。
割り箸の木の屑をこすり合わせるとサルノヴァは合掌した。
頂きます。
少女はずっとサルノヴァを見ていた。
ここでは企画室の殺気のこもったタイピング音も
車のドアを強打する音も聞こえない。
少女は笑った。
すみれの花だろうか。
むらさきいろの小さな花びらをした花が少女の足元に咲いている。
タイプR
デュオのコンビネーションパターン5と1/4
再回帰的関数ポイント
企画室のナビゲーターが何かのドライブコースを読み込んでいる。
サルノヴァはオレンジジュースの入った瓶を開けた。
コルクを抜くとゆっくりとオレンジの香りが周りに広がった。
空の雲は緩やかに右から左に動いている。
台風のような風もここではない。
この5月という暑い日に川から流れる池の水を救い上げ
畑まで運ぶ。
サルノヴァの作業は根気いる作業だ。
夜に来る腰の痛みに耐えながら。
少女はサルノヴァの事が好きでたまらないらしい。
サルノヴァはあまり少女の事を気にしてはいないようだ。
デュオが封印された石碑の階段。
そこからT字路が生まれ畑の段々が繋がっている。
この半舷する世界タンジェントA。
サルノヴァは弁当の中のたくわんとおにぎりをオレンジで流し込んだ。
少女はサルノヴァを観るのに少しあきたのか
周りをうろうろしだした。
サルノヴァは畑に充分に水をやると家に帰る支度を始めた。
まいた水があっという間に地面に吸収されていく。
その速度3ノット。
航空機がサルノヴァの頭の上を通り過ぎた。
飛行機雲が繋がっていく。
森の木がさっとなびいた。
何かいるのだろうか。
中からとびだしたのはモグラだった。
モグラは陽のひかりを慌ててさけるように
また地面の中に沈んだ。
サルノヴァは立ち上がるとまた明日だなと笑った。
少女はうん「明日もがんばろう」
と言った。
企画室のナビゲーターが森の風を読み込んでいる。
8ミリ、いや17ミリくらいかな。
位じゃ困るんだよ
三日月さん。
あら位でも読み込めるだけましじやない。
三日月は頬を膨らました。
よく銃弾の口径はエアガンで八ミリが真似されるな。
だから何よ。
風がゆれてモグラが死んだ?
いやモグラは生き残る。
コード線の長さ5Mにしといて。
そんなに長くちゃ悪い気起こすだろ。
今時のコードは短くて使いやすいのが売りでしょ?
なんでそんな長いコードが必要なのよ。
コンピューター室の風が冷ややかにエアコンのダクトから
五月の鯉のぼりみたいな風を避けている。
サルノヴァはのらしごとを済ますと家で料理を始めた。
砂糖をとりだすとスプーンでその量を目で確かめた。
甘すぎるといけない。
4と1/2くらいが丁度がいい。

                次回につづく。