Subeatleoの自作ルーム

連載小説 スクリュー 第2話

地動


 サルノヴァは深呼吸しだした観葉植物を鑑賞していた。
サンセベリアの深い緑が部屋と部屋の空間を柔らかな光で満たしている。
植物も生き物。
動物も生き物
人も生き物。
みんな生き物。
現在と過去を結びつける時間軸が縦に流れる昨日の積の激しさを物語るように
ジオメトリーに形跡をつけてゆく。
現在から過去、過去から現在
時間は常に前にしか進むことはないと思っていた。
タイムトンネルの一部分が今に道を開き。
開かれた今から昔へ人の群れが流れ出している。
サルノヴァはため息をついた。
人は誰しも自分の勝利の瞬間を記憶にとどめ
その甘味は果てる事がない。
そしてそれを人は時に勇気と呼ぶ。
馬鹿げた事だ。
今を生きる時間が仮に過去をもどしても
行き過ぎた自分の肉体の瞬間は過去に返る事はない。
送ってきた人体に内蔵された細胞という遺伝子メカニズムがそれをけして
許しはしない。
倦怠で過ごした時間は戻る事はない。
サルノヴァはいきいきと目を輝かせながら伏し目がちに
少女に視線を送った。
おいしいかい今日のヒレカツは?
うんおいしいよこれサルノヴァ。
ちょっと分岐に時間がかがるが高原で育った野菜も肉もうまい。
サルノヴァは昼食の弁当をおいしそうにほおばった。
水道の蛇口から水が一粒たらりと流れた。
時間を感じながらこの少女もサルノヴァも過ごしいるようだ。
青く輝く粉が時折、夜道にふらふら光っている。
蛍が飛んでいる。
ひとつふたつほんのりと光ってまた消えてまた光っている。
先ほど過ごした昼の時間をしのぶようにサルノヴァは峠道を自転車で飛ばした。
ミル子ばあにこの手紙を届けねば。
サルノヴァは四枚ばかりタイプされた束を抱えてバックにいれそれを運んでいた。
サルノヴァを後ろからバスが追い越した。
バスはエレキメンタルなテンポで峠道を左右に振られながらすーっときえていった。
あのバスに乗れば良かったかな。
サルノヴァはなんだか不思議な気分だった。
ペダルを漕ぐたびにそのふとももに熱をおびて
汗が噴き出す。
心臓がそれですこしはやく脈打つと
頭が自然と思考を始めた。
あの時、少女がもってきたこの手紙はいったいいつのものなのか。