Subeatleoの自作ルーム

 

連載小説 静まりし二つの羽根 第10話

「レクのダイスと第三の標的」

世界ルートでいうところの東西を分ける標準線はそこから3つほど行ったところであらしい。
今日に大きな禍根を残したのもその戦争の対価であると私は確信している。
レクはチューリップ畑を旅していた。
サンディーとは鍛冶屋を出たあと、1月6日の再会を約束し別れた。
何も知らないからあんたばかりをみるんじゃないのその人。
とサンディー言っていた。
あんた、自分をいじめるのも大概にしなさい。
それじゃ私がいくら努力したって無意味じゃない。
サンディーの最後の言葉はふてくされていた。
レクのダイスの目は2と5。
子午と死後が一緒になっちゃいけない。
レクは頭を振った。
ドルフィンキックならカンガルーチョップもありだな。
レクは一人、にやにやしながら歩いていた。
カンガルーキックだろ。
レクは新しく作ったダイスを握り締めると酒場に乗り込んだ。
親父、なぁ聴いてくれ。
スクリュードライバーってやつはジンじゃできないのかい?
意味わかんねぇ?事を言うなら帰ってくれ
ここの酒は白か黒かそれだけだ。
レクはしばらく考えたあと。
居酒屋の名前を見渡した。
そこにはゼブユと書いてある。
親父、この店はなんでその名前なんだい?
うるせぇ?ガキだな
飲まねぇーなら帰りな。
遠くからボサノバの音楽が聞こえてくる。
2と5の目か。
黒をもらうわ。
5がかけるぜ。
やってみるかい?
おめぇさんが振りな。
サイコロをレクは弾いた。
丁、半どっちだい。
半だ。
サイコロは6と2で静止した。
ちっガキ、運がいいな。
どうやら月は落ちなかったようだな小僧。
ここの敷地は斜め半だ。
あとは好きにやんな。
レクはグラスの酒をゆっくり口に含んだ。
おう、いかさま賭博師。
背丈の180は越すであろうのっぽの金髪の男が話しかけてきた。
レクは言った。
俺はいかさまはしない。 チューチューやってんじゃねぃか。
なんの事だ?
そのサイコロ、蜘蛛がでてるぜ。
サイコロには軽いヒビが入り始めていた。
さっき作ったばかりなのにもうか。
あんたここでダイスを振るとはいかれてるぜ。
舎利保通と変な落書きをした一枚の紙がレクが気づかないうちに置かれている。
バーのマスターは言った。
あんた歩きづめかい?
ちょっとは寝たほうがいい。
その一杯を飲んだら2階のベットで横になんな。
その夜、レクは夢をみた。
降臨の王冠を抱いた犬の笑顔だった。
くそぉ?いみわかんねぇ?夢見ちまった。
レクは買ったばかりのポンチョを羽織ると酒場を後にした。

第9話へ戻る

インデックスへ戻る

第11話へ進む