Subeatleoの自作ルーム
連載小説 静まりし二つの羽根 第12話
レクの咆哮
レクは砂漠の街を抜けて、中立の街、ダリアアークを彷徨っていた。
ダイスの出目は皐月と雪柳。
ダリアアークのまちは世界有数の長さを誇る
ヨサノ川の河口付近に存在している。
水車小屋とチューリップ畑、それに川をまたぐ大きな橋が二つ。
ものすごい勢いで対向車線から馬車がレクの横を通り過ぎた。
その横に黒い上着に白のズボンを履いた女がレクに語り掛けてきた。
「あんたこの町の人じゃないね?」
「その靴ボロボロじゃないか」
レクは口を開いた。
「ああこの町で豆を運ぶ仕事があると聞いてここまで歩いてきた。」
あああんた豆の仕事がしたいのね。
今ならちょうどココアを摘んで市に出す仕事があるわ。
年末だからあまり長い仕事じゃなそうだけどね。
レクはさっそく農家に訪れた。
ここの豆は大事な代物さ、ちょうどいま苗代を畳んでしまったからあとは市に
運ぶ分が少しある程度だよ。
「おやじ、その仕事、俺にやらしちゃくれねぇ~か?」
あんたか、豆を運んだ事はあるんか?
「いやあいにく。」
「ふぅ~むまあいいだろ」
あとはほんのわずかだ、これを市に出してくんな。
レクはココアの堤を一袋預かった。
これを市にいるマーコックに届けてくれ。
レクはココアの袋を抱えると市に向けて歩き出した。
ココアを市の商品棚に流し込むとマアーコックがこれは少ないがと
礼をくれた。
レクは疲れて橋のたもとをフラフラと歩いていると、その形がまったく向こう側に
もう一本ある橋と相似していることに気付いた。
この二本の橋は一方通行でもないのに同じ形をしているな~。
向こう側にいる女がレクを呼んだ。
「おにいちゃん、靴は買えたの?」
いやまだだ。
声が木霊していた。
反復ってやつか。
錯覚だろうかもう靴なんか買わなくてもいいじゃんとレクには言ってるように
聞こえた。
レクはその夜、町に宿をとった。
チューリップの鉢植えがのんきに花盛りを迎えていた。
明日は靴を買うぞ。
レクは礼の中身をみて意外に多いなと笑みを浮かべた。
レクのベットのわきの黒板に数字で241317-171324とロット番号が書かれ
その下に御用の方は手を下に伸ばして9番を押してくださいと書いてあった。
なんだ内線の使い方かと思いレクはそのまま眼を閉じた。
グルグルと天井が回りだし、辺りは川の潤った空気が充満していた。
よく朝起きると、また例の女がレクに言った。
「靴は買えたの?」
「レクは言ったいやまだだと言った。」
橋のたもとにまたぶらぶらと辿り着くとそこにはこう書かれていた。
「river out side view flow inside view」
レクはあまり意味がわからず、橋を渡ってみる事にした。
橋の真ん中に来たとき、ひどい耳鳴りがした。
なんか緯度が高すぎるな。
レクはなんとか橋を渡り切った。
どうしてか山の頂上でもないのに不思議だった。
さっきの向こう側にいた女が私が案内してあげるからついてらっしゃいと言った。
ゆっくりついていくと12ブロックを過ぎたあたりで突き当りの道の壁にぶち当たった。
ここに入れば靴が買えるわ。
レクはお礼を言ってその女と別れた。
扉を開けるとそこにはショーウィンドーに飾られた古いアンティークの時計売り場のような店のたたずまいだった。