Subeatleoの自作ルーム
連載小説 静まりし二つの羽根 第19話
星降る海岸。
シモンとレクの鼓動は早まっていた。
寄せては返す波の音が夜の空気を色濃くしている。
高まっては引き、引いてはまた高まっていく。
レクは少し緊張で何が何だかわけがわからなくなっている。
シモンは夜空を見上げて呟いた。
あの星何っていう名前なのかしら?
レクは答えた。
フォーマルハウト、爆弾屋さ。
一等星なの?
そう。
南にしか引かない星。
一直線上に地平を結ぶ。
風が少し吹いた。
もうあれから五ケ月か。
貴方、傷心中だったの?
昔恋人いたの?
レクはしばらくだまったあと言った。
恋っていうかブライト。
ブライト?新しい恋の名前?
何もかも純白だった。
貴方ドライブしてたわよね。
純白なわけないじゃない。そう。
純白なわけない。
下心は?
二人は顔を近づけた。
心の高鳴りとは裏腹に二人は落ち着いていた。
シモンは貝殻を拾い取るとそれに耳を当てた。
レクは思考回路がストップしている。
長い時間が流れた。
私、もう行くわ。
レクはその時、
子犬が一匹寂しく砂浜に座っているように見えた。
あの星、シリウスよ。
子犬座の一等星。
北にしか見えないわ。
貴方が南回帰線に乗れること祈ってる。
ただレクは去っていくシモンの後姿を
見送るだけだった。