Subeatleoの自作ルーム

 

連載小説 静まりし二つの羽根2 第10話

消された宿命

 南回帰線が、北斗の尻尾を左にとらえた。 砂時計のひとしずくが一つ、また一つと落ちる。 Rの残したエラーとRのつくり上げる一つの結界。 そしてダイムの残した次元城とさくら。 ベールに包まれた消えた道標がレクの頭をよぎる。 もしも俺のあの時、しるした道がその核心を俺自身にしたてあげようとしたのなら。 それはそう自分の行った行為そのものであり、イエムの行為そのものでもある。 そして大きな神の力が北からその尾を引き上げた。 メンチカツバーガーを食べながらイエムは考えていた。 仏心デュオの引き立つ2つの結界は極性の十字である。 そしてその十字は確かに南側では現れる事のない白鳥座の出る方角に導かれるものである。 エラーコード749-116 そうそれは2つのRが極を過ぎた事を意味するのだ。 別れた次元は2つの未来を描く。 静を宿すものと、陽をやどすものだ。 完全なるものと不完全なものそのものを認める力が必要なのだ。 陽はその回転により浄化をする。 今までの自分を書き換え上書きし必要なものを組み上げるのだ。 そして消えた再生への道がそこにあるのか。 レクは考えていた。 レクはエラーコードにより次元流の無限ループの中に置かれていた。 かすかにその白い光が星空に広がり、その空への道筋が銀河を分けていた。 次元流の暗黒のながれが何回も繰り広げられ そして再びもとの暗闇へと誘われた。 そしてまた次元流は大きな渦を巻いた。 このよに次元をわかつ依代は左右両極に存在しているはずだ。 俺のダイスが剣を投げるなら、その裏は雷を投げる。 その時、テリブル高架橋がなくなったのではなく もともと何処かのパーツの一部分だったのなら。 重なる波状の波と波の間に意味を見いだせないとしたら。 その時、イエムの声が響いた。 デクレシェンド! ダイム王が笑った。 もともと俺達に橋は2つ必要はなかった。 だがRとRすなわちデュオが結界を作る限り 今とその多次元の今の間に差異が生じる。 我々はすでにサザンクロスの只中にある。 つまり、RとRの次元的なひずみを投げる為だけにテリブルは必要とされていたのだ。 そうテリブルはサザクロスには必要がない事なのだ。 ならダイム王自らがテリブル高架橋を次元の隅になげた。 それは違う。 運命という一つの道筋が2つのコンフリクトゲームを許さなかったのだ。 無限を二分する曲線が必要ならその時だがね。 南回帰線にレクはいつのまにか乗っていた。 ダイム王は一つの問題に気づいていた。 それは彼の嗅覚がその吹く風の強さを感じていたからだ。 人は思い出だけでは生きられない。 美しい遊園地でのデートの記憶でもあればなら生きれるだろうか。 あんたやけにデートにこだわるね。 デートこそ最上だ。 時というこの城に住んでいては今と昔が交差する事が日常茶飯事だ。 ならその遊園地を思い出の中に作ればいいじゃん。 イエムが言った。 よし僕が作るよ。 イエムは世界樹でみた魚の事を思い出していた。 ここでの教えをあの魚のように復元してみせるよ。 エノシを吹く風がなびいた。 時の王ダイムとエノシ もしもエノシの復活が次元流と波の交差だとしたら 波と波の間にもう一つの貝ができるはずだ。 そしてこのエノシの母もそう時である限り その母体は時と時の間に蘇るはずだ。 時の貝か、この王ダイムそれは教えられん。 己から貝をイエムが見つけられると信じておるぞ。 そしてイエムはその場を離れた。

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