Subeatleoの自作ルーム

 

連載小説 静まりし二つの羽根2 第9話

サルーイン、帰る

 北からの回帰線が瞳を重なり、南からの浮上線がその風の勢いを増していた。 かつて中間に位置したゼブユの街はその色を変えていた。 そしてゼラルドは12支徒を捨てし時、この街を出ていた。 そして名残を惜しむ花々がところ一面にその話を残し、今に伝えていた。 サルーインとゼラルドの分かつことのできぬ二人の思い出はそこで花開いた。 かつてのサルーインはその陣をみずら他の物に移し替えた。 なぜなのかは分からない。 こまごめぴぺっとのその一滴の黄色が彼には根性の別れに思えたのだ。 その師の心はいまどこにあるかはわからない。 そして彼は全てをサルーインの生まれ変わりであるこの花に思いを込めた。 名もしれぬ宇宙育ちのこの花はその花びらを大きく広げていた。 変革の波は次第に色濃くなっていた。 そして北からの波が訪れた頃、この花も一時はそこを去った。 しかし北からの波は南のコンパスに煽られた。 その波は見知らぬ誰かのものとなった。 そして花は再びこの地にその生を得た。 その重力の知るところ9.8思い出の知るところの台座である。 イエムはテレビを観ていた。 慣性航行の歴史はその波の消滅と音に関係しいる。 おとなき地に花は咲くのか。 レコード盤が徐々に回りだす。 悲しい音が聞こえる。 俺の悲しみか。 円盤が羅針盤のごとき南回帰の風となった。 南回帰に時計のクロス。 そしてあの時のしゃれこうべ。 どこかで優しい声がした。

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