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連載小説 静まりし二つの羽根2 第2話

悲しみの果てに

これはフィクションです。
黄泉の王はゼラルド軍の進行をザカエブリッジの裏に冥道を炎の王のもとに張り替える事によって
逃れた。
そのことで、ゼラルドと炎の王のにらみ合いが続いていた。
ゼラルドは言った、わが身の不徳であると。
汝は我が子なり、炎の王よ。
汝のつけし、我が十二支徒はわれをかつて導きし十二神なり。
ゆえに我を導きし5道の覇気は5重の世界を従えし時より、使徒を捨てた。
わが子よ我に従え。
より正しき光の世界を共に築かん。
炎の王は言った、我は貴方をかつて支えし御堂の図り、水火の計の成れの果て
だが我が鎧は時を司ったセキトの成れの果て。
我が心は炎、そのものである。
水柱が一線に吹き上がった。
炎いかに強しといえどもその水流に勝てず。
父よ、この世を沈めるおつもりか
ゼラルドは言った、立つ炎は沈めねばならぬ。
イエムは目覚めた。
二人が争っちゃだめだ。
イエムは古文書をたどっていた。
春つげし時、渡り鳥降りる。
渡り鳥の湖におりし、夜、そのはねのざわめく波紋の輝きしこと瑠璃のごとし。
ルナの消息はつかめたかい?坊や。
ルナはきっと渡り鳥の降りる湖にその心があるよ。
なら早くおゆき。
雪解け水の湧き上がるや疾きことその瞬眠をゆるさじというよ。
急ぎな坊や。
イエムは一路、北の大雪原をめざした。
そこは吹雪と氷河に覆われていた。
もう春だというのに一面、銀世界だ。
こんなところに渡り鳥は降り立つのか
イエムは手にとったライターで薪を集め、火を起こそうと思った。
かじかんで手が動かない。
もっと厚着してくれば良かったな。
足元はもうほとんど凍りついている。
神経が麻痺していく。
「寒いな?、枯れ木を探した。」
湖の近くにちかづくにつれて少しずつ薪が集まった。
ライタの火打ち石をこする。
火がじんわりとついた。
イエムは少しのあいだ、暖をとった。
そしてテントをはる準備を始めた。
湖底に杭を打つ。
トテカン
トテカン
重い、厚い地面にくいが固定された。
持ってきた銀の皿をひにかけ
そして
水を足した。
水が少しずつ湧き上がっていく。
その時である渡り鳥が飛来した。
一面に鳥の群れがつぎつぎと降り立つ。
そして氷つていなかった水面にすこし水しぶきがたった。
その瞬間、光が差し込んだ。
そのあいだイエムはコーンポタージュを少し体にいれた。
温かいスープがからだに熱を与える。
まもなく夕暮れを迎えた。
すこしずつ月が登っていく。
湖面にその月の影が45度に差し込む頃
イエムの優しい心に優しい声が響いた。
「貴方、そんなところにいると凍えしぬわよ」
イエムは尋ねた。
「あなたはルナですか?」
静寂があたりを包む。
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