Subeatleoの自作ルーム

 

連載小説 静まりし二つの羽根2 第22話

見えない橋を追え

  暗黒の夜空が広がる。 レクは消えたザカエブリッジを模索する。 レクの仮キュレーションが動き出す。 あの時、見えたシルエットとガラスのような透明な橋。 あの時の斜影は南から北向きに月が照らしていた。 (x-1)/(x^2-2x-3) + ( x+5)/(x^2-6x-7) あの時の斜影は2つの影の正負が逆転した時、突如その神紋をレクに与えたのだ。 Rの2つの結界はその極性の十字を双極にする事によってできる。 ザカエブリッジはそこから派生した五種を コントロールし切り替えることによって結界をどうも張っているようだ。 イエムは偶然に起こった2つの影の正負の逆転でその事が野性的にわかった。 レクの仮キュレーションが因数を導き出していく。 現在地という事象と、見えない橋、そして斜影と月。 レクの背広が広がる。 2(x−4)/(x-3)(x+7) 見えた。 暗黒の中にブリッジの斜影が広がっていく。 まだここからすぐそこだ。 そこにはダイムが佇んでいた。 よくここがわかったね。 ダイムは笑った。 今我が城は次元修復のたびに出ている。 ガラス張りのその城は優雅にそそり立っていた。 エノシとゼラルドの争いを止めないと危ない。 レクは主張した。 ダイムは言った。 心配はいらない、彼らは親子だ。 かつてあのコンパスは京橋の図りとして水火の計として働いて来たものだった。 攻め盛んとなれば自然に守りの計は増し そして膠着に転ずれば火盛んとなり攻めはます。 自然と転ずるところとなるのだよ。 そうして何年もこの界隈の秤として働いていた。 我らの危惧するところは闇の薄さだ。 まるで最近の闇は昼のように人がにぎわう。 時間のずれは恐ろしい後退を生むことになる。 自然に月が夜にいで、太陽が自然に朝に出るシンクロにズムでないといけない。 それこそが時空なのだよ。 レクはダイム王と盃をとった。 解剖学の言うところはオランダがやはり詳しい。 その先駆となったのは新書でありそのすべは受け継がねばならない。 解剖がそのメスの一をあやまればそのずれが人命にかかわる。 解剖のメスはできるだけその解体距離を縮めなければならい。 かつ迅速に行う必要があるのだ。 だから5度も六度もメスをいれては患者はぼろぼろになってしまう。 解剖は一回で行うのがベターだ。 その因数の解体は何度かかったのだね。 イエムは胸を張った。 一回です。 ならばよろしかろう。 ちゃっちゃちゃらお どこかで皮肉った笑いが広がった。 ーつづく  

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