Subeatleoの自作ルーム
連載小説 静まりし二つの羽根2 第5話
消えた結界
レクは宿屋に着いた。 その時である。 二階から大きな音がした。 月の骨董の蓋がとれて倒れたのである。 バタン。 美しき、白く透き通った服、白い衣を纏った女性が顔を出した。 「だいぶ長く眠ってらしたようね」 「どっかおかげんでもお悪いのかと思っていたわ」 女性がお湯を注いだ。 ダイム王は、どこにいらっしゃるか。 「何か御用がおありなの」 あ、思い出した。 今、川向うで炎の王とゼラルドが一触即発の事態を迎えている。 それを止めるには、ダイム王の力を借りれないかと思い ここを訪れました。 炎の王と水の守、ゼラルドが剣を鞘に収めた事をレクはその時、知った。 いかなる全治神といえども、戦いは己と知ったか。 美しい白い服の女性の名は、アリシア、レクはゆっくりと視線を上に向けた。 窓越しに柔らかな光が降り注いでいた。 レクは言った。 「なんだかあんたの事が好きになっちゃいそうだ。」 すこし呼吸を止めたような表情でアリシアは振り返った。 「バカね、あんたは私の弟じゃない」 レクは困惑した。 そういえば レクがまだ中学生のときだった。 ズボンの中にハチが入っていて 知らないで履いて、ハチに大刺さされされた事があった。 サササッ そういえば、あの時、そういえば 「姉さんなのか」 レクの姉、アリシアはダイム王を支える側近の一人と結婚し 平穏な暮らしをおくっていたのである。 あんたが街のすみで倒れてるって聴いて 驚いたわよ。 とりあえず、ちかくのここで貴方が起きるまで待とうと思って さぁもう大丈夫よね 「ねぇいさんなのか、だいぶ感じが違うから」 そうね、あんたと別れてから長いことあってなかったわね。 そしてレクはつかの間の休息をとると ダイム王のもとへ向かった。 あたりにはブーゲンビリアの花が一面に咲き乱れていた。 その花の回廊をゆっくりとレクは進んだ。 噴水があたりにスプリンクラーとなって給水をしている。 時を司る神、ダイム。 その力はこれほどの見事な城塞都市を創り上げていた。 中心部までには二つの橋がかかっていた。 ミスティックとテリブラーとその橋は名付けられていた。 ミスティック高架橋はダイムの神がここにセキトが二つに別れた時 そのカタイを支え続けたらしい。 レクが門衛にすると左の橋からまわれと支持を受けた。 左の橋、つまりテリブラーの方である。 レクはすこしためらうとダイスを降った。 お日様が朝の日差しを出さんと天に昇る瞬間だった。 ダイスの目は剣その裏は蜘蛛。 テリブラーの橋は轟音をたてた。 門衛がにわかにざわつく。 次元流か。 ときのひずみか。 橋が消えてゆく。 テリブラー高架橋がその姿を徐々に薄めだした。 唯仏神、デュオの結界が暴走を始めています。 レク、そこに飛び込んじゃいけない。 デュオの結界は近づく人を許さない それがたとえどんなものであってもだ。 その時、二つのデュオのうちの一つ、Rが暴走を始めたのだ。 エラーコード749−116