Subeatleoの自作ルーム
静まりし2つの羽根2 第52話
「山もゆる」
そのダイムの時間城の回廊をイエムは昇ってゆく。もしもその情報組織の形態が横並びの情報羅列を生むならその中でイメージングされた人々の核心はどこへたどりついていくのか。 よろこびやいかり、またやすらぎ、悲しみの複雑な感情を揺れ動かす情報の普遍化、タイムテーブルが出来上がって行く。人はやはりなによりも普遍を好む。 普遍とは変わらない事なのか。 レクはその未来に2人の面影を見ていた。ジョシュアバルバラシアとシモンマリナである。 レクは必ず重要なときにはこの2人を思い出すのだ。 知らず知らずのうちに俺は南回帰線に乗っていた。 フォーマルハウトの幻影が西の夕焼け空に沈んでいく。 タペストリの黒いシミが横に広がったと思うと次の扉が開いた。 やはり、この先の経路は桜と月、南十字か、それとも形式主義のダイスかだ。 人は流れに従えばいい。 レクはダイスを振るのを諦めてその二次元に推移していく、南十字の桜をみつめた。 少し外から夜の風が吹き込むとどこからかサックスのソール音が聞こえてきた。 エディーマクウアイア。 なぜここに、ここは時間城だ。 エディアは笑った。つまりあなたの妄想の中ね。 私、どうしてもあなたにいいたい事があって来たの。 レクは落ち着いて顔を上げた。 マクアィアは話を続けた。 あの時の首飾り、ここまでよ。 ここまで? そう 貴方はもう時間の中の人だもの、ストリートテラーの細工は必要ないでしょ? レクは思った。そして言った。 誰か好きな人できた? そうじゃないけど。 わかったこれは返す。レクは首に飾っていた首飾りを外すとエディの首にそっとかけた。 似合ってる。 じゃ私はこれで。 ちょっと待って。 レクはそういうとエディーの手を取った。 そしてぎゅっと強く握手を交わした。 これからもよき友人で。 友人。ともって事ね。 そう永遠のともでいて欲しい。 レクは時間の中でエディーと別れをかわした。 その頃、イエムはいよいよダイムの間に辿りついていた。 ーつづくー