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静まりし2つの羽根2 第53話

「山もゆる」

   静まりし2つの羽根2 2−53話
  時間城の結界落ちる
マクアウィアとの束の間の再開を果たしたレクは、東に車を走らせた。
西に太陽が沈みだす頃に、東から月がうっすらと丸く昇りだした。
双極に動き出す世界のなにか相関性のようなものを現実的に感じる。
海の汐のみちひきがたかまりだすころ、
フォーマルハウトの星が地平線上にうっすらと
浮かび上がる。
まっすぐ車を走らせると、ザカエブリッジの丘を越えていよいよその
中枢に入っていく。
時間城はこくこくと時を刻む。
イエムはダイムの間から、機関室、
そしてその奥の中枢の回廊を渡っていた。
四季を織りなすこの中枢は、秋、冬、春、夏の景色を彩る。 秋は冬に語りかけ、冬は春に話し、春は夏から目を離さない。
この凛々と回る時間軸をイエムは感じ始めていた。
冬は春にその痛みを打ち明ける。
その四間は秋は紅葉、冬は俵屋、
春は桜そして夏は青い大きな深い波の間を彩った。
そしてその中枢の間の手前でイエムとレクは再び再開した。
イエムとレクが出会い。
そして二人がダイスを振るとき、レクイエムとなって木霊する。
その鎮魂歌が部屋中に満ちていき。
そのコア室の中枢軸の天秤が崩れ
、 そして一時的に中枢を失った時間城は機能を停止した。
レクのスカルの首飾りが赤くかがやき、
そしてそれを刻んだ技師の魂がコアに
共鳴しだした。
そしてあっというまにその天秤棒は遥か彼方に動き消え。
変わりに20角の氷晶のコアが姿を表した。
一次の沈黙があたりを包む。
あたりの気温が一気に10度くらい下がり、
夏のカナカナ帽子が泣き止んだ。
そしてレクイエムのハーモニーがあたりに漂い。 イエムとレクはそのコアを走って離れた。
あたり一面に普通の日常が広がり
今日も何事なかったような生活をする人にあふれていた。
イエムはなにか置き去りにされたような時間ギャップと
世界ギャップを感じた。
今までもしやこの時間城の中に居たのかも。
二人はほっとすると同時に少しの不安とすこしの恐怖を感じながら
また前へ進み出す。
     ーENDー  

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