Subeatleoの自作ルーム
連載小説 静まりし二つの羽根2 第8話
セキトの鼓動
レクはイエムの声を聞いていた。そしてその繰り返しの中で鼓動にも近い何かを 感じていた。 人の脈拍、60秒間に4回打たれるリズムが繰り返し響いていた。 確かにこれは人の鼓動だ。 ダイムはセキトを受け継ぎ、そのセキトから受け継いだ母親の中で今は暮らしを共にし そして時の大河はみゃくみゃくとその形を変え、海にまで広がっていた。 テリブルの落下は時の大河のなせる御技だったのだろう。 セキトが白き、巨塔に生まれ変わるときに。 赤きヤドリギが青きヤドリギに変化した。 石ころは大河をころがりまたダイヤに化ける事もあるのだろうか。 そしてその祖となりしダイムはもとは世界樹の元の青きイエムの放した魚であった。 イエムがホトトギスのなく森に行った時、ばあちゃんはハザマの中からかすかな 声を上げた。 とうりゃんせの信号機の鳩音は赤かった。 そして闇の王、ハイドのため息は赤き尺眼をセキトにやどし セキトはエノシに宿った。 そう今、レクの流されている世界は、かつて狩人の覇を唱えた 鷹のやどる瞳の中だったのだ。 私が消えねばならぬというのか、ゼラルドよ。 この消えぬ炎、そして尺眼こそ真の真眼なり。 そして我が心に宿すこの赤きラインこそ私の標眼。 ぜラルドは我に返った。 そうだそなたこそ私の子供だ。 倅だ。 時の狭間、このダイムに宿して頂けぬか。 その頃、イエムはコンパスの事を考えていた。 あの時、舵をきったコンパスがダイム王の中心ならそこからふくかぜの方角は 南北をわかつはず。 眠りしサルーインは今、何処なのか。 イエムは思った。 サルーインは瞳の回廊で寝るのが好きだからな?。 ゼラルドはさらなる変革の時を迎えていた。 彼の子の尺眼に心を奪われていたのだ。 そして 見るもの全てが昨日とは違う世界に見えていた。 時の目覚めがダイムとエノシのどちらかを選ぶときが来ている。 そしてダイムの中に眠る桜の花びらが春を彩った。 草木が目覚め街一面はみどりの気配がじょじょに芽を出していた。 そしてゼラルドは5種からふたたび七道に徐々に姿を変えていった。