第2話へ

宿場町 ポートフォリア

「おやじ!今日はなんかの祝いか?」
レクが酒場のマスターに話しかけた。
「ああ、なんでも二世代グランプリ馬の子供が生まれたっていうので
町中、お祭り騒ぎらしいわ」
レクは納得したようにふと胸元からダイスを取り出すと
マスターに話しかけた。
「いっちょ、カケをしないかい?」
「なんだ、そのダイス変だぞ、見せてみろ!」
ダイスの面には太陽の裏に雨、その脇に雷、その裏に雪
蜘蛛の裏に剣が刻まれている。
「このダイスで蜘蛛が出たら俺の勝ち、それ以外ならバーボン二本分払うぜ
俺が勝ったらここはおやじもちだどうだ?」
マスターは戸惑ったが、「ダイスを振るのはあんたかい?」
レクは迷わず答えた。
「あんたでいいさ。」
酒場ではにぎやかなボサノバ調の音楽がその風をオレンジに染めている。
「どれ、そら!」
マスターはダイスを振った。
ダイスは二三回、木目のカウンターを転がると
ピッタリと蜘蛛の絵を表に出し、静止した。
「ありがと、よ。」
レクは酒場の扉をくぐると
細長い階段を昇っていった。