Subeatleoの自作ルーム
連載小説 静まりし二つの羽根 第24話
イエムは悪人?
イエムは回廊で震えていた。
桜の花びらの蜃気楼がゆっくりと舞い降りていた。
イエムは怖いと思っていた。
僕をみんなで悪者にしようとしている。
勤勉と勇気で立ち向かいなさい。
どこかで声がした。
サルーインの声のような気もした。
この前の僕が言ったセリフ、鳥が旅たったと言ったのは。
鳥が死を迎えたということをいわんとしていたわけではなかった。
人は自分にポイントを持っている。
あの時、僕は確かに北のもっとも奥の部分を行っていた。
そこからの南回帰はサザンクロスを目印にするしかない。
そうそれは南十字星、ミモザ。
そして北の白鳥座だ。
イエムは北にいた。そこでたしかに今僕の前にはその白鳥が南に渡ったような
気がしていたのだ。
水の戦神はアトラスが地球を一人で支えているように歌われたのは
ただ赤道を南へ降りている時に
自分はその姿をそこへ留め続けている努力をしていただけなのであろう。
また天の声がした。
善行を成せば私は蘇るというわけではない。
私は時がなす時代の渦が作る幻影。
その時、イエムのいる回廊の石段の四足が徐々に壊れ始めた。
これはいけない。
イエムは急いで上へと昇っていった。
まだまだサルーインの眠りは深い。
イエムの父親はぼそっと呟いた。
これは物凄い寒波だ。
イエムの母親は言った。
おそらくそれは白猫博士ね。
イエムの母は家で蕗の煮つけを作っていた。
あの子、また風邪を引いちゃったみたいね。
イエムは次の回廊へ石段に跳びついた。
今までいた回廊はあとかたもなく壊れいた。
だがそこに
大きな大岩が残されていた。
もしやここにサルーインの魂が。
イエムはまた石碑を一つ一つ巡っていった。
北に羽根の浮かぶとき、大きな尾がその姿を現すであろう。
そしてその井の尺度があなたにスケールをもたらし
そのスケールこそが確たる星となるだろう。
イエムは星の意味などはまったく理解できなかった。
僕のスケールはいまどこの位置だろう。
銀河系にあることは間違いない。
銀河系って太陽系とは違う。
参ったな~わかんねぇ~や。
イエムは笑った。