Subeatleoの自作ルーム

連載小説 静まりし二つの羽根3 第12話

第12話「天界の綺羅星」

徐々にブロードウェーでの暮らしが板につき、イエムは主人公ではなかったが
そのスターの歌や踊りのステージの引き立て役として自分をうまく扱っていた。
そしてその最たるものとしてのダンスが今はじまろうとしている。
客の多くが何か話している。
「今日で天界ちゃん引退を発表するって言ってるらしい」
「天界ちゃん引退したらこの先あのグループって」
イエムはすっかり自分の造形演技よりもぎゃくにそのプラ、グラミング、スタッフとしての
評価が高まっていた。
そして、イエムがその新たなイリュージョンにのせ
組紐を解くと、画面いっぱいに大橋が浮かび上がった。
海と陸を結ぶその大橋は時刻に合わせて隆起する大陸と海辺を引き紐に合わせて
くるくると回転させた。
芸っていうのはそうだが、たとえばけん玉でもその玉をそのうけにちゃんと乗っけられるか
どうかってのは頭で考えるよりも体感、センスを必要とするものらしい。
いうならば体で、実感でその訓練でそれをマスターして行くものなのだ。
そしてイエムのお家芸の背景ローリングのタイプももはやそれは
頭で考える事もあるが、体感でその新芸を導いていた。
そしてイエムは最後に雛と裏に鳥の二面の造形を完成させていた。
しかし観客の反応はシビアだった。
イエムのスター性は確かに芸が上達する度にのぼっているように見えた。
が、元来コミュニケーションを苦手とするイエムにはその一人の時間が多かった。
そして基本的に無口なイエムにmわりと意思疎通する事はまったくなかったし
なによりも心の通い合いを感じる場所がなかったのだ。
そしていつからかイエムは父と母、そしてレクともう一度会いたいと思う
気持ちが強くなっていた。
天界の裏表っていうのはな、彼らの蹴鞠をみたらすぐわかるさイエム。
一見、仲がよさそうに見えても
その階位に対する執着心が凄いんだ。
そしていつも観られている事を天界の人たちは意識している。
そして、誰もがすきってものをみせないように必死に生きている。
そう、袖口に墨がつかないように必死なんだよ。
イエムはその事がどうしても寂しく思えてならなかった。
イエムの作った造形の雛とその鳥の阿修羅は
今日の悔いをのこさないと必死に生きる天界の彼女たちとその裏の過去の
さまざまなできごとを忘れたいと思う
気持ちと向上心を確かに感じさせていた。
イエムの構想の土台となっているのは双極であり
慣性と惰性だ。
ならばその双極の縁が重なりその引き合いが楕円を演じた場合。
その方程式の中心となる分母の土台はそれが大きいときに
行動円は広がるものなのだろうか。
どこかでゲートが開く音がした。
一人の女性がでてきた。
そしてふーっとため息を吐くと白い息が冬の空に白く滲んだ。
その女性は呟いた。
「私、今日で引退するんだ、、」



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