第15話 天文の御門
イエムはアイドル 天界との別れを惜しみながら
道端で買ったシホンケーキのバナナロールを口いっぱいに含みながら
道をぶらぶらと歩いてた。
ゆきあたりばったりでは始まらないと思うのだが特にあてもなく歩いた。
しばらく歩くと、ゴシック調の大きな建物が見えた。
その横には天文学研究所と書いてある。
イエムはなんとなくそこを訪れる事にした。
自然科学について従事している過去の学者たちは、世俗でいうところの一般認識や
労働における経験的な認識との闘争から新たな認識を普遍化し一躍時の人になりたった
人たちである。
最初は一般的に受けいられられないような奇抜な観測が世俗的な評価や信頼を得るには
得てして時間がかかるものだからである。
だが科学認識というものは人個人がこうすればこうなるという事が普遍的に論理化できた
場合でもそれを必ずその手の専門家に相談しなければならないのは昔からの鉄則である。
それでもコペルニクスやガリレオの地動説が定着するまで多くの闘争が繰り広げられたのも
宗教的組織からの弾圧や、利権がらみの紛争ためゆえであろう。
だからこそ専門家と認識を共有するのは有益なのである。
素粒子理論を提供してきた今日の学者たちもその粒子のヒックスが確認できるなどだれが
思ってみた事だろう。
そんなこんなでイエムは天文に踏み出す事になる。
僕は自然区の男になるのか
イエムは胸をときめかせながら
門を叩いた。