静まりし2つの羽根 5
第13話
橋の去りし道
サンクチュアリにまで影響を及ぼし始めた黄泉の行軍は各地でゲリラ的に虚をつく戦略に
長けていた。
存分にやるがよかろう、一見、生と思う道が死であり
死と滅びと思われる道が生だ。
なにか悟りを獲た方のようにゼラルドはため息を吐いた。
本陣を急襲された時のエノシの炎の足取りを思い出していた。
ふつふつと怒りがこみ上げてくる。
やはり黄泉とその前に終戦協定を結ぶべきだった。
なぜ、一端、人は死を迎えねばならぬなどと思ったのだろうか。
滅びの先の道の黄泉になど、飢えた躯が踊るだけではないか。
生の選択と、死への選択
結局は自分自身だ。
不可思議な黄泉の都市の浮上をみせられてゼラルドは焦り、だがそれを次第に包み込んでいく
自分を感じていた。
黄泉の首都、ハラスパスでは何度もミラスの作戦会議が開かれていた。
幻影をより効果的に戦線の足止めとして使うには
やはり、ザカエブリッジを手中に収め、そこからハラスパスへの交通網を開く以外に
方法はない。
もう時間がない。
だんだん、橋が落ち始めている。
亀石によって厳重に作られた壁により通行網が遮断され、各地の世界はそれぞれ
孤立し、自治体制が深まりつつあった。
その頃、イエムは救命病棟を描いた小説に夢中になっていた。
直面する医療事故の脅迫とそれぞれのドラマに深入りしている。
レクはおもむろにほおり投げるとダイスは鎧に雲
村雨のような雨が、ルナの町外れの街を煙るように潤している。
植物にとっては恵みの雨だ。
数年前、点々としいるその灯火をたよりに、その灯の終点というものをよく考えていた。
それは今となっては黄泉の先の街へまで永遠と続いているように思えてならない。
安穏とする町外れのその街でバーボンの二杯目をあけて
ブルースの音楽に浸っている。
つかのまの休暇を楽しむように
ふと
天井を見上げてると何かステージのかけらのような絵画の片割れがぶら下がっている。
これは何かの割り印。
どこへ通じる割り印だろうか。
ーーつづくーー
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