Subeatleoの自作ルーム
第 8 話
相克の黄泉
仲裁条件は以下の通りだ。
怒声を浴びせながら寝返ったエノシが、ゼラルド軍の本陣、ザカエブリッジ付近の小規模都市に軍を
進め、流れ込んだ。
黄泉の進撃の余韻で、次々と街は移り変わり、昨日までの都市にところどころ異変が浮かび上がる。
夕立の済んだ、淡いグレーの建物がギシギシとゆれ
その裏のビル街に同様が走る。
エノシの軍は炎の軍であり、その象徴の赤とオレンジの旗がキラキラと光る。
一方、黄泉の首都との連関網を樹立したミラスの軍はところどころでゲリラ進撃を続け
わずかに手勢、2000人の軍で、敷地に導線経路を走らせらせるエノシの軍へのいらだちが
募っていた。
ミラスは言った。
このようないい加減な導線奇形では、きれいなビジョンは描けない。
重要部分へのフォログラフ、幻影を打つなら多少、ポイントがずれているのではないのかね?
エノシの苛立ちは募った。
動線奇形を張るだけでも多大なコストがかかる上に、ゼラルド軍の痕跡が読めず。
伸縮を繰り広げる逆さ次元城の拡大にこらえられず、軍が飲まれていく一方だから
だったからだ。
ミラス陛下、ならばあなたがたの理想のマトリックスの起点はどこに置くべきかと思うのですか。
ミラスはしばらく間を置くと、敵の食料、備蓄庫の周辺に軍を展開させて、それをすばやく
自軍にあてられるような作戦を取れるフォログラフ起点をつくるべきかと存じ上げるが。
ならばそういたそう。
エノシとミラスの会話はわずかな時だった。
三色あれば、幻影ビジョンは可能になる。
敵軍が進軍した場合、黄泉の首都、ハラスパスへの進軍を止めるには、その扉周辺に
設置したがいいだろう。
暗躍工作を続けるエノシの軍は、その算段はあまり、高くはない。
しばらくたち夕闇がとけると、ゼラルド軍は、その補給物資確保の路線を徹底するために
その陣取りに向かった。
その時、突如である。
食料備蓄庫周辺に突如、高層ビルの迷宮がいくつもそそり立った。
浮足だった、ゼラルド軍は、動揺し、帯が西にかたむく。
それはまるどピサの斜塔を思わせた。
このままでは高層ビル街のあつで都市交通が寸断される。
急いで道路計画をねらねばならない。
だがしかし、そのときである。
伸縮を繰り返していた、逆さ次元城が突如、消えた。
その変わりにいくつものビル街が乱立し、そこはまるで1代都市を思わせる。
ゼラルド将軍は手を振り上げると、そこでしばらく固まった。
それはまるで、メビウスの光だった。
今だ。
本陣に向かって進軍。
エノシ軍がつぎつぎと編み回路を構成していく。
一度、このような陣切ってしまえば、造作もない。
そこでエノシ軍とゼラルド軍のにらみ合いが続き、緑の狭間がその時、天に出来上がった。
青と赤に溶けた美しいピンク色の光が空に盛れる。
その時、空の上の四角い間取りから
ルナの声が聞こえた。
もう無益な争いはやめてください。
黄泉の世界にいざなうかもしれないそれは美しい、美しい、声だった。
ーーつづくーー