Subeatleoの自作ルーム

 

連載小説 静まりし二つの羽根 第7話

「世界樹のもとへ」

イエムはいつもの学校の帰り道、
桜時計の森を歩いていた。
鳥がリズムよく鳴いている。
太陽がじりじりと暑い。
森の入口の石段の近くで
イエムは腰を下ろした。
こう暑くちゃ歩けない。
すると石段の上の方で
なにか甲高い声で鳴いている。
「ポットー、ポットーサケタ、
ポットーポットサケタ」
イエムはやたらこの鳴き声が
気になった。
もう体は石段を一段その時、
昇っていた。
石段をどんどんと
昇っていくと、
そこには石碑がたっていた。
するとどこからか
歌が聞こえる。
「トーリャンセ、トーリャンセ、
ここはどこの細道じゃ~」
かっこー かっこー
しばらく歩くと。
「KEY ROOT DON’T REPAIR」
どこかなじみのある英語で、
わかりやすく書かれていた。
イエムはそんなことより
さっきの声の主を追いかけた。
どうやらこの石碑の奥から
響いているようだ。
イエムがそこに手を伸ばすと。
地の中からイエムの頭の中に
声が響いた。
「我が名はデュオ、
それに手を触れるな!」
イエムはしばらく
気を失っていた。
気づくと自分の部屋の
ベッドに眠っていた。
時刻は12時44分過ぎだった。
あれ、おれ森の中で、
どう見てもいつもの家だ。
深く記憶をたどっていった。
あの時、森の中で
すると突然、
目の前に汽車が停まった。
車掌の声がする。
「客様、発車時刻を
過ぎております。
お早目にご乗車下さい。」
黙って電車に乗るイエム。
次の停車駅は
世界樹、世界樹。
目の前には
凛然たる雲を突き抜ける
大木が広がっている。
イエムは汽車を
すこし離れ、
世界樹に近づいていく。
「赤福」「青福」「大福」
とかかれた看板が
立っている店がある。
少し行くと波打つ
、海岸に出た。
そこで寄せてはかえす
波から打ち上げられた魚が
一匹、苦しそうにもがいている。
イエムはその魚をそっとつかみ、
海に放した。
魚はぷかぷかとそこで浮いたり
沈んだりしていたが、
突然息を吹き返し、
元気そうに泳いで
海の中にいなくなった。
浜辺をずっとあるいていくと
大木の根に辿り着いた。
根から上の方は
雲に隠れていて見えない。
ぼーっとイエムがしていると。
一枚の葉がイエムの頭に
落ちてきた。
その葉には
「貴方のはじまり」
と書かれていた。
イエムは再び汽車に飛び乗った。
汽車はゆっくりと動き出し、
イエムの家の頭上で停車すると
イエムの父と母が呼ぶ声がした。
おい、イエム!
イエムは目を覚ました。
母はいつものように
台所で料理を作っていた。
「私、アイナメなんか料理したこと
ないのよね」
ぶつぶつ言っていた。
父が言った。
「イエム、お前、
頭がおかしいのじゃないか?
大丈夫か?」
イエムは知らず知らずのうちに
何行も何行もノートに
言葉を書き込んでいた。

「TRAIL IS CENTER FOWORD
 TO BEFORE・・NAHAT CENT
 ICHI DAGHT BONJURU NIHAO
 QUEST MAWARU BE WATER
 BE WOOD BE FIRE BE EATH
 BE GOLD by SUN AND MOON
そのような文がノート一面に
書き連ねてあった。
次の日、
いつものように学校に行くと
いつもの仲間が話しかけてきた。
「イエム、お前、昨日、
どこに居たんだ?」
友達が以前よりなにか
垢ぬけたかっこうをしている。
「自分でもよく記憶がないから」
イエムは苦笑いした。
瞳の回廊、
サルーインの心が眠りし場所
イエムが魚を
海に帰した時、
サルーインの灯篭に火がまた一つ
灯っていた。
そこには闇を越える道と
書かれていた。
「鍛冶屋セレルバード」

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